消化器内科
更新日 令和6年12月12日
概要
湘南東部地域の拠点病院として、地域医療の中心となるよう、診療に励んでいます。
消化器内科では、消化管(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸)、肝臓、膵臓、胆道(胆のう・胆管)に関する診断、内科的治療など、消化器全般の診療を行っています。
消化器病・消化器内視鏡・肝臓・胆のう・膵臓を専門にした医師が診療にあたり、患者さん一人ひとりの状態にあわせて、最適な診断や治療を行います。
消化器疾患の症状
消化器疾患の自覚症状としては、胃痛・腹痛、胸やけ、吐き気・嘔吐、便秘・下痢、吐血・下血、食欲不振、黄疸、腹満感などがあり、消化器内科で診療します。
また、健康診断で、便潜血陽性、肝障害、胃バリウム検査や腹部エコーで異常を指摘された場合なども、消化器内科の対象です。
消化器疾患について
上部消化管疾患:逆流性食道炎、食道がん、食道静脈瘤、胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、 胃がん、胃腺腫、胃ポリープ、十二指腸がん、消化管間葉系腫瘍(GIST)など
下部消化管疾患:大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、憩室炎、憩室出血、便秘など
肝疾患:急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、脂肪肝など
膵疾患:急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がん、膵のう胞性疾患など
胆道系疾患:胆石、胆のう炎、総胆管結石、胆管炎、胆のう癌、胆管がんなど
上記消化器疾患に対し、診断・治療を行っています。
診療内容と特徴
(1)消化管の早期がん・ポリープに対する内視鏡的切除治療
食道・胃・十二指腸・大腸の早期がんや良性ポリープに対し、NBI拡大内視鏡や色素により、正確な範囲診断と深達度診断を行ったのち、内視鏡的切除を積極的に行っています。
内視鏡的切除には、
・ EMR(粘膜切除術)・ポリペクトミー:スネアという金属の輪を使用して切除する
・ ESD(粘膜下層剥離術):特殊な電気メスを使用して切除する
という2通りの切除法があります。
ESDはEMRに比較し、高度な技術を必要としますが、病変を確実に切除できますし、EMRでは切除できないような大きさや形をした病変でもESDならば一括切除(ひとかたまりの病変として取り切ること)が可能です。
そのため当科では、術前にがんと診断されたり疑われたりした病変に対しては、原則としてESDにて切除しています。
ESD件数は年々増加傾向であり、2021年度のESD件数は202件でした。
AI内視鏡画像診断のご案内
当院では、AI(人工知能)を搭載した内視鏡画像診断支援プログラムを導入しました。豊富な経験を持つ医師とAIのダブルチェックにより、大腸がんなどの病変発見率向上が期待されております。詳しくは以下のリンクよりご覧ください。
(2)胆膵疾患の早期診断・内視鏡治療
当院は、胆膵疾患(膵臓、胆のう、胆管、十二指腸乳頭部がん)の診察および治療に力を入れており、CT・MRIの画像検査に加え、EUS(超音波内視鏡)による精密検査を積極的に行っております。
国立がん研究センターの調べでは、2020年のがん死亡予測で膵臓は第4位、胆管・胆のうは第6位に位置し、胆膵領域のがんはもはや稀な病気ではありません。しかしながら、早期のがんは臨床症状がほとんどないことから、診断が非常に難しいことが現状です。早期膵臓がんの所見として、健診等の腹部超音波検査にて膵菅拡張、膵のう胞、膵臓の限局性萎縮が報告されており、腫瘍を発見するにはEUSが重要な役割を担います。2022年度はEUSが重要な役割を担います。2022年度はEUS404件、EUS下針生検68件であり、早期膵臓がん(ステージ0・IA・IB)を2例診断しております。
現在、胆膵領域の医療は非常に進歩しております。従来のERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)に加えて消化管手術後の小腸鑑を用いたERCPや、EUSを用いた胆道・膵管・腹腔内膿瘍のドレナージ治療、小型の胆道鏡・膵管鏡を用いた特殊な治療や検査なども積極的に行っており、2022年度はERCP280件・EUS下ドレナージ20件でした。腹痛や黄疸などの症状がある場合だけでなく、採血異常(肝障害、糖尿病の増悪、腫瘍マーカーの上昇など)、腹部エコー異常(胆管拡張、胆嚢ポリープ、膵管拡張、膵のう胞)、胆膵癌が心配な患者さんがいらっしゃいましたら、いつでも当科にご紹介ください。
消化器内科胆膵診療のご案内
当院の胆膵診療についての取組は以下のページでもご紹介しています。
(3)消化器疾患の悪性腫瘍に対する薬物療法および緩和医療
食道がん・胃がん・大腸がん・肝臓がん・膵臓がん・胆道がん・消化管間葉系腫瘍(GIST)などで根治的手術(病変を全てとりきる手術)が適応にならない場合、当科では、保険診療で受けることができる最新の薬物療法(抗がん剤治療・分子標的療法・免疫療法)を入院または外来通院で行っています。 病状により、放射線治療を組み合わせた集学的治療を行います。
優れた経口抗がん剤(飲み薬の抗がん剤)の登場により、長時間におよぶ点滴治療が不要となり、入院期間が短縮してきています。また、吐き気や嘔吐に対する様々な制吐剤(吐き気止めの薬)が開発され、治療中の生活の質も改善がみられています。
当科では、年齢や基礎疾患・ご本人やご家族の希望などを考慮のうえ、患者さん一人ひとりに合った治療法を提案致します。
また、診断早期より、緩和ケアチームの協力も得て、副作用を抑えたり症状を和らげたりする支持療法も行います。
(4)炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
炎症性腸疾患には、潰瘍性大腸炎とクローン病があり、両疾患は日本で患者さんの数が増加し続け、約30万人以上と推定されています。両疾患の内科治療は、近年目覚ましく進歩し治療の選択肢が増えました。
当科では、2017年より炎症性腸疾患専門外来を開設し、専門医による診断・治療を行っています。持続する血便・下痢・腹痛・体重減少などの症状が出現する場合には、当科にご相談ください。
(5)消化器救急疾患への対応
消化器救急疾患(吐血・下血などの消化管出血、胆のう炎、胆管炎、急性膵炎など)に対し、消化器内科医が24時間365日対応できる体制を整えています。 必要に応じて、緊急で止血処置やドレナージ術などの治療内視鏡を行っています。
施設認定
日本内科学会認定教育施設
日本消化器病学会認定施設
日本消化器内視鏡学会指導施設
日本消化管学会胃腸科指導施設
日本肝臓学会関連施設
日本がん治療認定医機構認定研修施設
日本胆道学会認定指導施設
日本膵臓学会指導施設
日本炎症性腸疾患学会指導施設
診療実績
令和5年度 | 令和4年度 | 令和3年度 | |
---|---|---|---|
上部消化管内視鏡(胃カメラ) |
5034 |
4802 | 4401 |
粘膜切除術(EMR) | 15 | 13 | 7 |
粘膜下層剥離術(ESD) |
84 | 94 | 107 |
内視鏡的止血術 | 153 | 159 | 139 |
胃瘻造設・交換 | 98 | 104 | 98 |
拡張・金属ステント | 10 | 13 | 7 |
下部消化管内視鏡(大腸カメラ) | 2826 | 2783 | 2538 |
ポリペクトミー・粘膜切除術(EMR) |
1256 | 1214 | 1051 |
粘膜下層剥離術(ESD) | 82 | 62 | 97 |
内視鏡的止血術 | 57 | 60 | 29 |
拡張・ステント | 26 | 29 | 15 |
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP) | 270 | 277 | 355 |
採石 | 93 | 121 | 103 |
胆道ステント・ドレナージ | 191 | 182 | 226 |
超音波内視鏡(EUS) | 529 | 496 | 277 |
超音波内視鏡下吸引針生検(EUS-FNA) | 60 | 68 | 44 |
超音波内視鏡下治療(Interventional EUS) | 15 | 14 | 14 |
胆道鏡(スパイグラス) |
15 | 17 | - |
医師
- 秦 康夫
-
卒業年 昭和60年
医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医
日本肝臓学会 肝臓専門医
身体障がい者福祉法指定医(肝臓機能障がい)
臨床研修指導医
- 栗山 仁(副院長)
-
卒業年 平成8年
医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医
日本肝臓学会 肝臓専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本医師会認定産業医
身体障がい者福祉法指定医(肝臓機能障がい)
臨床研修指導医
- 村田 依子(科部長)
-
卒業年 平成13年
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医
日本炎症性腸疾患学会 IBD専門医・指導医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
身体障がい者福祉法指定医(肝臓機能障がい)
日本消化器病学会 評議員
日本消化器病学会 関東支部評議員
臨床研修指導医
- 佐藤 高光(副科部長)
-
卒業年 平成21年
医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会 消化器病専門医・指導医
日本消化器病学会 関東支部・評議員
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医日本消化器内視鏡学会 関東支部・評議員
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本膵臓学会 指導医
日本胆道学会 認定指導医
身体障がい者福祉法指定医(肝臓機能障がい)
臨床研修指導医
- 後藤 駿吾
-
卒業年 平成24年
医学博士
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本消化管学会 胃腸科専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
身体障がい者福祉法指定医(肝臓機能障がい)
臨床研修指導医
- 松本 悠亮
- 卒業年 平成30年 専門分野 消化器内科一般
- 池田 佳彦
- 卒業年 平成31年 専門分野 消化器内科一般
- 上野 航大
-
卒業年 令和2年 専門分野 消化器内科一般
- 林 春菜
- 卒業年 令和3年 専門分野 消化器内科一般
- 東 暖乃
- 卒業年 令和3年 専門分野 消化器内科一般
- 浅野 悠稀
- 卒業年 令和4年 専門分野 消化器内科一般
- 中原 祐貴
- 卒業年 令和4年 専門分野 消化器内科一般
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